元気になったペット

クロエちゃんは8カ月のトイ・プードルの女の子で、飼い主さんの肩から落下して、左の前足(橈骨)の骨折をしました。ホームドクターからのご紹介で来院しました。

小型犬の橈骨尺骨骨折は筋肉が少なく、またその活動性の高さから整復･固定が難しいとされています。組織を丁寧に扱い、解剖学的に正確に整復することで元の機能を取り戻すことができます。固定は2枚のプレートを橈骨の正面と外側面に設置し、1カ月ほどで正面のプレートを外します。動物は骨折を整復･固定した後は、すぐに走り回ってしまうために最初はしっかりとした固定が必要です。ただ、長期間強固な固定をすると、小型犬の橈骨尺骨は骨がインプラントに依存して細く弱くなっていきます。そのため段階的に固定強度を落とすことが必要になります。

2枚のプレートを使用する利点は、骨折部位に初期強度を与え、その後適切な時期にプレートを外すことで、骨が痩せることなく骨癒合に導くことができます。

人のように骨折した後、体重を少しづつかけるよう指示することができないので、動物の骨折にはこの方法は大変有用です。

クロエちゃんの前足も元の形に戻り、元気に走れるようになりました。