一般診療科

General Practice

一般診療科

健康診断、ワクチン、去勢避妊手術はもちろん、内科・消化器科・皮膚科・耳鼻科等の幅広い診療を、
ご家族が抱えるさまざまなお悩みに寄り添いながら診察を行います。

多くの経験と知識、適切な検査をもとに、愛犬・愛猫の状態をしっかり把握したうえで、ご家族にわかりやすくご説明をし、一緒にケア方針を立てていきます。

内科

アナフィラキシー

この病態は、ハチに刺されたり、薬物または食物によっても起こる急性の全身性かつ重度なⅠ型アレルギー反応です。
アナフィラキシーの症状は、蕁麻疹や低血圧、呼吸状態の悪化等があり、重度な場合はショック状態に陥ることもあります。

写真1はアナフィラキシーショックを起こしたワンちゃんの胸部レントゲン写真で、青い矢印は
後大静脈を指しています。
低血圧のために後大静脈が細くなり(赤線)、心臓のサイズも小さくなっています。また循環不全により、胆嚢壁の浮腫(動画1)も認められます。

治療は、エピネフリンの点滴静注を行い、低血圧の改善をします。アナフィラキシーショックは、
2峰性の経過をとるものが多いので、十分な注意が必要です。


治療後は、後大静脈と心臓が正常なサイズに戻り(写真2)、
胆嚢の浮腫も改善されました。(動画2)

巨大食道症

巨大食道症は、甲状腺機能低下症や重症筋無力症等が原因で食道が拡張して、正常の消化管の運動ができなくなる病気ですが、
ほとんどは特発性(原因がよくわらないこと)でおきることが多いといわれています。

症状は、吐出といって、えさが胃に入る前の未消化の状態で口から出てしまいます。
吐いたものが肺に入って、誤嚥性肺炎を起こすこともあります。

投薬治療に対する効果は少ないので、エサを与える時は、しばらく立たせたままにすると有効です。

急性膵炎

高脂肪食を与えることによって膵臓が自己消化をすることによって起こるといわれています。
症状は腹痛、嘔吐、下痢、食欲不振、ひどいときには死亡することもあります。
当院でも人の食べ物やジャーキーをたくさん与えることでよくみられます。

尿路の毛細線虫症

膀胱内に寄生する寄生虫です。ミミズやナメクジが中間宿主で、これらを食べることにより感染するといわれています。

症例のネコちゃんは、排尿姿勢を何度もとるとの主訴で来院しました。膀胱穿刺による尿検査で、 潜血反応と毛細線虫を確認しました。


毛細線虫は膀胱の内腔に産卵し、卵は尿中に排出されます。
通常病原性は低いとされていますが、多数寄生では腹痛、発熱、尿失禁、排尿困難、膀胱炎などの症状も出ることがあるようです。
治療は線虫駆除薬を使用します。

高カルシウム血症 ー上皮小体線腫ー

高カルシウム血症は、体内のカルシウムの濃度が高くなる病態で、発生頻度は高くないものの、
重症化すると多飲多尿や食欲不振、体のいろいろな場所に石灰沈着を起こしたり、多くの臓器に悪影響を与えます。

主な原因は、腫瘍から出るカルシウム濃度を上げるホルモン類似物質(PTH-rH)が多く産生されたり、
カルシウム濃度を調整している上皮小体からPTH(カルシウム濃度を上げるホルモン)が多く作られることによります。

猫ちゃんでは、高カルシウム血症の原因が特定できない特発性のものも多くみられます。
高齢のワンちゃんでは、上皮小体が腫大化することがあり、そこからホルモンが多く出ることで高カルシウム血症を起こすことがあります。

症例は、高カルシウム血症の10歳の
ミニチュアダックスフンドですが、超音波検査で大きくなった上皮小体が認められました。
手術で大きくなった上皮小体(写真 青矢印)を取り除くことで、カルシウム濃度は正常に戻りました。

食物アレルギー

最近はアレルギーによって体をかゆがるワンちゃんがたくさんいますが、調べてみると食物によるアレルギーが原因となっていることが多くみられます。

治療は、アレルギーを起こさない成分で構成されたドッグフードに替えることになります。

皮膚科

毛包虫症

ニキビダニ症ともいわれ、毛包、脂腺、汗腺にこの寄生虫がたくさんいると、皮膚炎を起こします。
免疫が抑制されている状態だと、皮膚病変が全身に広がることもあります。

治療は、薬浴や殺ダニ効果のあるイベルメクチン、ドラメクチンを使用します。
このワンちゃんはこれらの薬物で、神経症状が認められたので、高容量ミルベマイシンにて治療を行いました。

眼科

前眼房蓄膿

前部ぶどう膜炎(虹彩・毛様体の炎症)の結果、前眼房に白血球を主な成分とする膿がたまる病気です。
治療はステロイドの点眼、症状がひどい時は内服を行います。

耳鼻科

鼓室包炎

耳道から出る膿が、なかなか治らない原因として中耳炎があります。
中耳炎は鼓膜より内側の耳の炎症ですが、鼓膜の内側には頭蓋骨の一部で鼓室という空間があります。
鼓室は音の伝導を担う耳小骨が内部にありますが、ここに炎症が起こると鼓室包炎と呼ばれ、内服薬や外耳道からの点耳薬だけではなかなか良くなりません。

このような場合鼓室包にアプローチして、内部をきれいにする必要があります。
外耳道に狭窄やポリープ形成が無い場合、腹側からの鼓室包骨切りを行うことがあります。